日時:2018 年 6月 23 日(土) 1:30~4:00
場所:ガレリアかめおか 3階研修室
〒621-0806 京都府亀岡市余部町宝久保1−1
Tel 0771-29-2700
タイトル:
ユートピア思想とパンツをはいた女性たち
―19世紀アメリカのドレス・リフォーム運動(第Ⅰ期)―
概 要
1.歴史的背景
拙著『アメリカ植民地時代の服飾』(せせらぎ出版、1996年)においても述べたように、イギリスを初めとするヨーロッパの人々は、17世紀にヨーロッパから移住してきて、アメリカ大陸に植民地建設を行い始めて以来、祖国ヨーロッパの貴族の服飾への強い憧憬の念をいだき続けてきた。フランス革命期のシュミーズ型ローブの登場は、ロココ調の拘束的な衣裳様式に対する反目から生まれたコルセットから解放された動きやすい衣裳様式であった。アメリカでもこの自由で、動きやすいローブが取り入れられるが、それも束の間、再び拘束的な衣裳が復活し、紐締めによる拘束的な衣裳は女性の健康、生まれてくる乳児の健康を蝕んだのである。
19世紀のニューヨーク・ファッションは、基本的にはパリ・モードであった。ニューヨークでは、ハイウェストのエンパイヤ・ドレスに始まり、ロマンチック衣裳、クリノリン衣裳、バッスル衣裳といった拘束的な衣裳が流行していた。だが、1880年代にクリノリンやバッスルを用いた拘束的な衣裳様式はウェイスト(ブラウス)とスカートの二部式の実用的で、活動的な衣裳様式に取って代わられるのである。また、スポーツが盛んになり、自転車に乗るためのデバイデッド・スカート、水着、テニスウェアーなどが開発された。
このようなパリモードの華やかなりし時代に、他方において、以上のような拘束的な衣裳様式に抗して、1824年から1920年にかけて、ニューヨークとその周辺においてドレスリフォーム運動が興こされた。すなわち、インディアナ州のニュー・ハーモニー共同体、ニューヨーク州のオナイダ共同体、その他のユートピア共同体において、女性のドレスリフォーム運動が興り、衰退していったのである。
本講演では、近代アメリカにみる服装改革運動、すなわち、ドレス・リフォーム運動の実態と衰退の要因に迫ることとする。三回に分けて、報告させていただく予定である。
参考文献 濱田雅子著『パリ・モードからアメリカン・ルックヘ―アメリカ服飾社会史 近現代篇―』(株式会社インプレスR&D POD出版サービス、2019)
アメリカの服飾に限らず、多民族の服飾文化(ヨーロッパ諸国、アジア諸国の服飾文化)に関する研究発表や講演、書評会、西洋服飾史・民族衣装セミナー、ワークショップ(デザイン画、手芸、コスチューム・ジュエリー制作など)を行って参りましたが、2020年より、新型コロナウィルス感染症の蔓延により、上記の様な集いが持てなくなっています。そのため、会報発行、および、オンライン講座による持続可能な活動を行っています。下記より、お気軽にお問合せ下さい。ただし、研究会の趣旨に沿わないお問合せには、対応できかねます。