日時:2016 年 11 月 20 日(日) 1:30~4:00
場所:ガレリアかめおか 3階第 4会議室
〒621-0806 京都府亀岡市余部町宝久保1−1
Tel 0771-29-2700
タイトル:
19世紀後半北アメリカ西部開拓時代の衣生活ーミネソタの大草原の小さな家を訪ねてー
ヨーロッパの服飾文化が気候・風土など環境の異なるアメリカ大陸にどのように移植され、アメリカ的土壌において、どのように変化・発展を遂げ、20世紀に至って、誰がいかにしていわゆるアメリカンモードを生み出し、築き上げていったのか、また、先住アメリカ人の服飾文化やテキスタイル文化の背景と特色は何か、アフリカン・アメリカンの人々の服飾文化やテキスタイル文化の背景と特色は何か、先住アメリカ人やアフリカン・アメリカンの服飾文化やテキスタイル文化は、ヨーロッパからの植民者にどのような影響を及ぼしたのか、西部に移住した開拓民の衣生活の実態など、実際には実に膨大な興味深い研究課題が服飾研究者の目の前に歴然と存在しています。
濱田はこのような問題関心のもとに、17世紀から20世紀にかけてのアメリカ服飾社会史の分野の研究に1981年以来、携わってきました。それらの研究は上流階級から下層階級にわたる服飾社会史を成しています。
そこで本セッションでは、従来の拙著において十分に解明できていない北アメリカ西部開拓時代の女性の衣生活をミネソタの事例を取上げ考察したいと思います。ローラ・インガルス・ワイルダーの『大草原の小さな家』シリーズに描かれたようなフロンティアにおける自給自足の生活実態を女性の衣生活の視点から、さらに具体的に解明してみたいと思うのです。
19世紀後半に北アメリカ中西部のミネソタに移住した女性たちの衣生活を、先行研究と衣服の実物調査に基づいて考察します。まず、ミネソタの歴史的背景と気候・風土、およびミネソタへ移住した人々の民族的背景、男女の構成および職業について述べます。次に当時の移民女性の衣生活を階級別に考察します。上流階級はヨーロッパの衣裳を踏襲していたので、ここでは詳しく扱いません。未開拓の研究分野の中流階級の女子服に注目し、女性の衣服の貴重な実物をUniversity of MinnesotaのGoldstein Museum of Designの収蔵品から紹介・分析し、当時の衣服デザインおよび生産技術のあり方を検討します。最後にスウェーデンからの移民のAnna Pers_dotter Larsonが製作した男性用のシャツとパンツの実物をMinnesota History Centerの収蔵品から紹介・分析します。以上により当時の移民女性の衣生活の一端を紹介し、当時の庶民の生活について、参加者の皆様とディスカッションを楽しむ機会になればと思っています。
(文責 濱田雅子)
アメリカの服飾に限らず、多民族の服飾文化(ヨーロッパ諸国、アジア諸国の服飾文化)に関する研究発表や講演、書評会、西洋服飾史・民族衣装セミナー、ワークショップ(デザイン画、手芸、コスチューム・ジュエリー制作など)を行って参りましたが、2020年より、新型コロナウィルス感染症の蔓延により、上記の様な集いが持てなくなっています。そのため、会報発行、および、オンライン講座による持続可能な活動を行っています。下記より、お気軽にお問合せ下さい。ただし、研究会の趣旨に沿わないお問合せには、対応できかねます。